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『アルティザンブーランジェコンクール北海道2014』

まだ雪が残る3月26日(水)、「アルティザンブーランジェコンクール実行委員会」が主催する「アルティザンブーランジェコンクール北海道2014」本選が札幌スイーツ&カフェ専門学校で開催され、その様子を取材してきました。

今大会の看板

この大会は、2007年より北海道産小麦粉等北海道産素材の使用拡大に寄与することを目的とし、「北海道バゲットコンクール」として北海道内のパン職人を対象として3回開催されておりましたが、本年よりその規模を全国に拡大し、より北海道産素材の使用拡大を目的として開催されました。

全国より53名のパン職人さんたちがエントリーされ、その中から6名の方が今回の本選に進まれました。
当日朝7:00より競技が開始され、各職人さんたちが、それぞれ課題に沿った思い思いの作品を次々と作っていきます。

大会会場の様子

次々と焼きあがったパンたち

審査員の方が「北海道産小麦は、近年めざましく進歩しており、製パン適正にも優れてきている。一昔前のように北海道産小麦独特の食感であるもちもち感ではなく、外国産小麦と同様な、サクッとした食感のバゲットが焼くことができる」とお話ししておりましたが、確かにその通りです。
私もこのような大会は初めて拝見しましたが、雰囲気としては、緊張感溢れるものとなっておりました。
今回より一般公開もされており、メディアも含めたくさんの来場者があり、たいへんな盛り上がりでした。
15:30に競技が終了し、16:30から職人さんたちのプレゼンテーションを経て審査結果の発表(結果については「ベーカリークラブN43ホームページ」をご覧ください)
となりました。

審査の様子

こういった大会が今後も続き、北海道産小麦がどんどん活用されることを願う次第です。
なお、この大会中に当社も含めた、道内の各製粉業者がブースを設け、それぞれの粉を使ったパンの販売や展示PRもありこちらも大盛況の内に終了しました。一部来場者に伺いましたが、やはり北海道産小麦粉について「安全・安心だから」とか「外国産と比べ食感が好き」などの評価が聞け、北海道産小麦のファンが多いのだなあと感じた1日でした。

当社で出展したブース

2014年4月28日
営業管理グループ グループリーダー 筒渕 亨

“YES!clean”認定小麦を生産する、十勝・芽室町「美生小麦生産組合」を訪ねました。

広大な十勝平野の一角、帯広の西隣に位置する芽室(めむろ)町。
日高山脈を南西に望み、どこまでも平坦な大地に、小麦、ばれいしょ、豆類、ビート、スイートコーンなどの畑が見渡す限りに広がる農業の町です。この町で小麦などの栽培を行う農業者6軒で構成される「美生(びせい)小麦生産組合」では、「YES!Clean」認定の小麦を生産しています。
現在、小麦で「YES!Clean」認定を受けている生産者は、ここ美生小麦生産組合と、三笠市・いわみざわ小麦生産集団キタノカオリグループの2団体だけです。
「YES!Clean」は、北海道クリーン農業推進協議会が審査・登録する制度。
北海道全体で取り組んでいるクリーン農業を土台に、農薬や化学肥料の使用を削減して生産することを目的に、道立農業試験場などにより開発・改良されたクリーン農業技術を導入して生産された、よりクリーンな「北のクリーン農産物表示」制度のことです。
この制度で規定されている各種条件に適合しているものだけが、「YES!Clean」の表示ができます。
◎「YES!Clean」の詳細はこちら → http://www.yesclean.jp/

組合独自の小麦乾燥施設内で、美生小麦生産組合の皆さん。写真左から、松永敏男さん(副組合長)、飛田秀樹さん(組合長)、中川芳男さん、飛田和茂さん、武田美晴さん、細野浩伸さん、浅田文浩さん、松永隆寛さん。

「美生小麦生産組合は、芽室自然農法生産組合、有機小麦生産組合を経て現在に至っています。輪作をせずに無農薬・無化学肥料の小麦栽培に取り組んだ時期もありましたが、生育不良や病害虫による被害などが相次ぎ断念。輪作体系を基本にしながら土づくりや栽培方法の工夫に積極的に取り組み、必要最低限の農薬と化学肥料の使用にとどめる農法へとシフトしました。小麦は本当にデリケートで、あらゆる面で不安定要素の多い作物なのです。組合員も当初は30軒くらいありましたが、いまはわたしたち6軒で力をあわせてYES!cleanの小麦を生産しています」と組合長の飛田秀樹さん。
同組合が一貫して目指しているのは、品質・安全性・収益性のより高い小麦を生産すること。
しかし国内の小麦事情は、収量を犠牲にして農薬や化学肥料の使用料を抑えても、生産者にとってそれに見合う収益を得るのはなかなか難しいのが現状です。
「YES!cleanの規定に沿って農薬や化学肥料の使用を抑えるということは、それだけ生産性のリスクが高まるということ。収量は慣行栽培の1割減くらいを覚悟しなければいけません。場合によっては、極端に収量の低い年もあり得ます」と語るのは、副組合長の松永敏男さん。
そんな課題を抱えながらも、よりよい食の生産に取り組む同組合と志を同じに、パートナーシップの関係を構築しているのが横山製粉です。
平成19(2007)年度よりYES!cleanに認定されている同組合の秋まき小麦(きたほなみ)はすべて、横山製粉が買い取り契約をしています。

美生小麦生産組合専用の小麦乾燥施設(一部)。収穫された原麦はここで乾燥・水分調整された後、札幌の横山製粉に運ばれYES!clean小麦粉製品となってユーザーのもとへ届けられます。

「消費者が生産者の顔の見える農産物を求めているのは確かです。いろいろ苦労も多いけれど、俺たちみんな、しっかり足並みを揃えて頑張るから、横山製粉さん、頼むね!」との飛田組合長の言葉に、
「皆さんの想いをしっかりカタチにしていきます!北海道産小麦全体のためにも、美生小麦生産組合のYES!clean小麦を、しっかりアピールしていきます!」と横山製粉営業部業務グループの高橋恒リーダー。

Yes!Clean小麦を加工して出来た小麦粉

北海道産小麦の価値向上へ。
農業生産者と製粉会社ががっちりとスクラムを組んで取り組む実際を目の当たりにして、北海道産小麦のさらなる可能性を実感しました。
ますます楽しみです!北海道の小麦。
取材/2014年2月18日
文/宿田牧夫

「北海道ホットケーキミックス」開発ストーリー

 

北海道産小麦粉を使用した当社のホットケーキミックス開発のスタートは2005年。その後2006年に「北海道産小麦使用 ホットケーキミックス」(下記に当時のパッケージデザイン)の商品名で商品化したものの、製造ラインの老朽化の問題があり、採算性などを検討した結果改修工事は行わないこととなり、一度のみの生産で終売という、開発に携わった者としてはかなり心残りなデビューでした。(幻のホットケーキとも云われています)

しかし、終売後もお客さまや関係者から商品の復活を望む多くの声が寄せられました。このことを受け、4年後の2010年に当社のオーナーより、もう一度北海道産小麦のホットケーキミックスを商品化しよう!との第一声が上がり、再度開発に着手する運びとなりました。この年は、北海道産小麦の主力品種が「ホクシン」から「きたほなみ」に切り替わり始めた直後といってよい2年目。このことに伴い、ホットケーキミックスのベースとなる小麦粉は「きたほなみ」への変更が必至となりましたが、この小麦粉の特性はまだ検証初期の段階でした。

北海道産小麦粉を使用した新たなホットケーキミックスの開発をスタートさせて最初にぶつかった難題は、同じ中力系の小麦であってもその特性の大きな違いでした。同じ配合で「ホクシン」を「きたほなみ」に置き換えて試作・試食してみましたが、ネチャネチャとした、まったく好ましくない食感となってしまったのです。「きたほなみ」の小麦粉の特性を徹底的に調べると同時に、使用する副原料の選定や配合比率などの大手術が必要な状況となりました。北海道産小麦は“もちもち”とした食感が大きな特徴ですが、焼き方をちょっとでも失敗すると口の中で団子状になってしまい、好ましい食感となりません。そこで目標をホットケーキ本来の望ましい食感である“ふんわり”“しっとり”“口溶け良”に設定して、何度も試行錯誤を繰り返しました。

またこの年はアルミニウムを多く含む食品を多く食べる一部の小児で、摂取の許容量を超える可能性が報道された年でもありました。小さいお子さんにも安心して食べていただけるよう、ホットケーキミックスには必需品であるベーキングパウダーはアルミニウムの入っていないもの(いわゆるアルミフリーの膨張剤)を選定・検討することとしました。

数カ月の開発期間を経てなんとか理想に近いものが出来上りつつある時期に、社内にホットケーキミックス開発の女性チームをつくり、そのチームで候補を絞り込み、その後全社員の試食評価を以って配合の確定に至りました。

続いてチームはパッケージデザインに取り掛かり、2社によるプレゼンを受けて1アイディアを選択しました。パッケージ裏面には食べ方の提案を写真付きで載せることに決めて、そのレシピ開発も同時に進行させました。パッケージに載せる写真撮りの際はスタジオにも押しかけるなど、パッケージの制作側と意見を交わした回数は数えきれないほど。こうして完成したパッケージは、料理本をイメージした平面的なデザインが斬新だと社内でも好評を得ることができました。ご協力いただいた皆さま、その節は本当にありがとうございました。

こういった道のりを経て「北海道ホットケーキミックス」は2012年7月に完成。

販売直後から皆さまに好評をいただき、販路も徐々に拡大。札幌や東京などの北海道産食品のセレクトショップ、北海道内に20数店舗を展開するスーパーマーケットの厳選商品売場、札幌市内のこだわりの食品店などで販売され、おかげさまで「北海道ホットケーキミックス」のおいしさや個性が口コミでどんどん広がっています。

味がしっかりとついたホットケーキミックスなのでお値段も少し高めですが、休日のランチなど「自分にご褒美をあげたい」、「少しリッチに家族と過ごしたい」という気分になった時にご利用いただくと、きっと満足していただける商品であることを確信しています。

2013年12月13日  横山製粉株式会社 R&D 部長 川原修司

 

次回、北海道ホットケーキミックスの楽しみ方を提案したいと思います

(1月後半から2月を予定)

「小麦グルテン」のおはなし

横山製粉と業務提携している、石川県金沢市の北国(ほっこく)フードのレポートをお届けします。

北国フードは、国内産原料100%の小麦グルテン(蛋白)と小麦澱粉を製造している、量産メーカーとしては国内唯一の会社です。

北国フードで製造している小麦グルテンは「活性小麦蛋白」と呼ばれるもので、小麦粉から分離させたグルテンを、その本来の性質を損なわないようフリーズドライ製法によって乾燥させ、利用しやすいよう粉末にしたものです。

活性小麦蛋白の製造工程は次のような流れです。

【原料小麦粉】→【加水】→【混練】→【水洗い・分離】→【生グルテン】→
【フリーズドライ】→活性小麦蛋白

機械の中で小麦粉の生地に水が加えられながら混練する工程。

混練された生地を水洗いする工程。生地の中の澱粉は水に溶け出し、グルテンが半固形となって残る。白濁した水分(澱粉乳)は澱粉の原料となります。

繰り返し水洗いされて出来上がった生グルテンを、計量・パッキングする工程。生グルテンはこの後すぐに冷凍保管されます。

冷凍された生グルテンはこのフリーズドライの機械によって真空凍結乾燥されて乾燥グルテンになります。

フリーズドライによって作られた乾燥グルテン。これを粉末にして製品が出来上がります。

袋詰めされた北国フードの活性小麦蛋白。プレミアムな小麦グルテンとして、全国に流通されています。

時間をかけて丹念に仕上げる北国フード独自製法の「活性小麦蛋白」は、当然コストも高めになりますが、品質がすばらしい!

真空状態で乾燥されるので、蛋白質にダメージが少なく、さらに安心の無添加。スプレードライやフラッシュドライ製法による小麦グルテンと比べて弾力性や伸張性が極めて豊かなので、少量の使用で小麦粉に小麦グルテンの特性をしっかりと反映させることができるという特長を持っています。

また、【水洗い・分離】の工程で出る【澱粉乳】は、【精製】【乾燥】などの工程を経て小麦澱粉が作られます。

工場内のもうひとつのラインでは、澱粉乳を精製・乾燥させて、小麦澱粉が作られています。

袋詰めされる直前の小麦澱粉。

【小麦グルテン】の主な用途は、製パン、製麺、製菓、製麩など、【小麦澱粉】の主な用途は、水産ねり製品、蓄肉加工品、レトルト食品、冷凍食品惣菜類、菓子類など。

横山製粉では、今後も北国フードと連携して北海道産小麦100%の小麦グルテンと小麦澱粉の製造・活用を進めていきます。

圧倒的な量が生産される北海道産の中力系小麦粉にグルテンを加えることで強力系小麦粉に、小麦粉澱粉を加えることで薄力系に、さらにプレミックスへの利用など、北海道産小麦100%由来のグルテンと澱粉の、さまざまな用途での利用拡充を積極的に展開していきます。

どうぞご期待ください!

REPORT:宿田牧夫(ゴッツォ株式会社)

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